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『NO ANDY NO LIFE』(兵アン)(1)※『人生という名の冒険は続く』

 ぼちぼち夏コミの原稿を進めています。とてもじゃないが出したい本を全部出せるとは思えない…がギリギリまで努力はしたいなーって(「負けると思って戦うな!」精神で)。
 一冊目はアンリミで『人生という名の冒険は続く』(兵アン)。…サークルカットには葉ヒノって書いてあるけど!!(汗)葉ヒノのネタもあるので本出したいんですが、メインジャンル(うちあくまでケンイチサークルだから!)も進めなければならないので結構厳しいです(Ω本も出したいし)。
 『人生という名の冒険は続く』には、『True ∞ enD は棺行き!』とその翌朝以降の話『NO ANDY NO LIFE』(兵アン)が収録されます。取りあえず、(1)がコレ↓です。
『NO ANDY NO LIFE』(兵アン)(1)


「――きゃああああっ!!!?」


 …その日、カタストロフィⅡ号の船内に、甲高い絶叫が響き渡った。





「少佐、ヒノミヤ、しっかりしてっ!!」


 床に散乱した陶器の欠片、絨毯に広がる紅い沁み、何より、キングサイズのベッドに並んだ状態で微動だにしない兵部とヒノミヤに、紅葉は血相を変えて駆け寄った。


「少佐…ッ、ヒノミヤ…!」


死んだように眠る二人の体を思わず揺さぶろうとして、何とか理性で留める。ぱっと見兵部に外傷は無さそうだが、ヒノミヤの側頭部から頸部にかけて、まだ乾ききらない鮮血が濡らしていた。バスルームからタオルを引き寄せ、頭部の傷を押さえながら他に外傷がないか確認する。


「一体、何が…!?」


昨日は、久しぶりにヒノミヤがカタストロフィ号に帰還し、船内は細やかながらも歓迎ムードに沸いていた。彼と特に親しくしていた者達は言うまでもなく(勿論紅葉も例外ではない)、あまり接点の無い者も、珍しくはしゃぐユウギリや普段にも増して騒がしい葉と戯れる姿を微笑ましく見守っていた。…何よりも、


――少佐が、あんなに喜んでいたのに…!!


あの捻くれ者の兵部京介が、らしくもなく喜色に頬を緩ませていた。本人は表にでないよう必死に隠していたのだろうが、家族の眼は誤魔化せない。もっとも、人目がないと油断して鼻歌を漏らしていたくらいなので、兵部をよく知る人間なら、家族でなくても分かったかもしれないが。


「もうっ、なんなのコレ…!」


何のおふざけか知らないが――十中八九、兵部の仕業だろう。それ以外にあり得ない――ヒノミヤの両手に取り付けられた枷をテレポートでゴミ箱に飛ばす。意識のない成人男性はただでさえ重いのに、あんなものが絡みついていては体勢を変えるのにも邪魔だ。


――バキィ…ッ!!


「!?」
「紅葉姉っ!」


先程の悲鳴を聞きつけたのか、葉と真木が駆け込んできた。特に葉は昨夜かなり飲んでいたはずだが、1分も経たずに駆けつけるとは自室から此処までの距離を思えば大したものだ。これで、ドアを壊さなければ言うことはないのだが。


「ヒノミヤ!?」
「…何があった?」
「分からないの、私も今起こしにきたところで…。」
「う…、」


枕元が騒がしかったせいか、そもそも扉の破壊音が派手だったからか、これまで何の反応もなかったヒノミヤがわずかに身じろいだ。


「ヒノミヤ、おい大丈夫か!?」
「……。」


息せき切って問いかける葉を色違いの瞳がぼんやりと見上げる。頭を打っているせいか、葉をじっと見つめた後、紅葉、真木と順番に視線を巡らせたヒノミヤは、なかなか口を開かない。


「おい、マジでどーしたんだよ?!まさか、見えてないんじゃないだろーな?」


葉がヒノミヤの目の前で掌を左右に振ると、ヒノミヤはパチパチと瞬きした。それから、僅かに首を傾げて、不思議そうに呟く。


「お前、……誰だ?」
「「「?!!」」」
「つーか…ここ何処?」


キョロキョロと居心地悪そうに室内を見回すヒノミヤを、三者三様の思いで凝視する。


「オ、オイッ、お前…、マジで言ってんのか!?」


傷ついたような顔でヒノミヤの胸倉を掴もうとする葉を制して、真木が静かに問いかける。


「ヒノミヤ、分からないのは葉だけか?頭以外に痛む箇所はあるか?」
「えっ…、」


葉の剣幕に引きつつ、ヒノミヤは素直に答えた。


「ヒノミヤって、俺の名前…?」
「ヒ…!」
「そうだ。」


葉を遮って、嫌に自信ありげな声が割り込む。見ると、ようやく起き上がった兵部が、ドヤ顔でふんぞり返っていた。


「――いいかい、ヒノミヤ。」
「!!」


ズイッと距離を詰めた兵部は、両手でがっしりヒノミヤの肩を押さえ、実に楽しそうに宣言した。


「君は、アンディ・ヒノミヤ。僕らの家族だ。」


……ここまでは良い。異論はない。例えヒノミヤ本人が認めなかったとしても、彼は紅葉達にとって、パンドラにとって、仲間であり、家族なのだから。


だが。

続く衝撃の宣告に、三人は目を剥いた。


「――…そして、僕の恋人だ。」



――エエエエエエエエエエェ?????!


寝耳に水の発言に、心は絶叫したのだが、吐息一つ漏れることはなかった。なぜなら、三人の口は――手足もだが――兵部の力でぴったりと閉ざされていたからだ。そりゃーもう、鼻呼吸が出来なかったら死んでいたのではないかと疑うほど強力に。


「そう…なのか?」
「そうだよ。」


にこにこにこにこ。


知らなければ無邪気にしか見えない邪すぎる笑顔に、ヒノミヤは「そうなんだ…?」と釈然としないながらも納得したようだった。


――ちょっとー、いくら記憶が無いからって、そんなに簡単に信じちゃダメでしょ!!?


車が行きかう道路脇をよちよち歩きで進む幼児を見るような、そんな、叫びだしたい衝動に駆られるも、指一本動かすことも出来ない。超能力も同様だった。

そうこうしている間も、兵部によるヒノミヤの洗脳(not超能力)は進む。


「君はしばらく此処を離れていたんだけど、昨日帰ってきたところだったんだ。久しぶりに会ったものだから、お互い飲み過ぎてしまってね。…頭が痛いだろう?君は、たまたま倒れてきた花瓶に頭をぶつけたんだよ。」
「ふーん…。」
「記憶が混乱しているのは、そのせいだろう。…でも大丈夫。僕たちがついているから、心配はいらないよ。」


――花瓶が勝手に倒れるわけないじゃない!どうせ少佐がやったんでしょ!?


全力でツッコミたかったが、紅葉達の必死の努力にもかかわらず、三人の身体はピクリとも動くことさえ出来ないまま、船底の倉庫へと飛ばされてしまったのだった(犯人は言うまでもない)。




              ……NO ANDY NO LIFE(2)(※『人生という名の冒険は続く』収録)に続く!



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みねず あおい

Author:みねず あおい
日々の溜息と絶叫を綴っている日記(更新記録も此処)。史上最強の弟子や星矢Ωの感想を投下。最近はアンリミコミカライズの感想も書いてます。

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